DXはなぜ進まない?経営者が知るべき課題と乗り越え方

dx-kadai

今回のテーマは「DXの推進における課題とその乗り越え方」です。

DX(デジタルトランスフォーメーション)は言うなれば企業の改革です。

既存のビジネスモデルや業務のオペレーションを変えるのは簡単なことではありません。

私もこれまで多くのDXに取組む会社を見てきました。

そんな中で特に多かったDX推進における課題とその乗り越え方をお伝えいたします。

最後のまとめに私が考える最も簡単な解決方法をお伝えしているので、
時間がない方は飛ばして読んでください!

目次

IT人材・知識の不足 外部の力を借りる

中小企業では社内にITの専門人材がいなかったり、経営者自身も詳しくないため着手できないという課題が非常に多く見受けられます。

実際、DX推進の主な課題として「人材不足」「知識・情報不足」「スキル不足」が上位に挙げられています 。この解決策の一つは、外部の力を借りることです。

国や自治体は中小企業向けにIT専門家との無料相談窓口を用意しています。

例えば、中小企業基盤整備機構が運営する「IT経営サポートセンター」では、経験豊富なIT専門家にオンラインで何度でも無料相談できます(要予約) 。https://it-sodan.smrj.go.jp/index.html

また、地域のITベンダーや信頼できるシステム会社に相談して、自社の業務に合ったツールを提案してもらうのも有効です。社員のIT研修を行ったり、ITに詳しい人材をアルバイトでも良いので確保することも検討しましょう。

さらに、「まずは身近なところから」デジタル化に取り組み、経営者自身がITに慣れることも重要です 。小さな成功体験を積むことで自信がつき、徐々に社内にIT知見が蓄積していきます。

資金・コスト面の不安 補助金やクラウドサービスを活用

新しいITシステムを導入しようにも「費用が心配だ」という経営者も多いでしょう。

特に最新技術は高額なイメージがあるかもしれません。

しかし、中小企業向けには補助金や支援策が充実しています。代表的な「IT導入補助金」は、ここ数年で約18万件の中小企業が活用しており、その約7割は小規模事業者による採択です 。

会計ソフトや在庫管理システムなどの導入費用の一部を国が負担してくれる制度で、経済産業省や中小企業庁の公式サイトで案内があります。

まずはこうした補助金を調べてみましょう。

また、クラウドサービスの多くは初期費用が低く、月額課金で使えるものが増えています。
一度に大金を投じなくても、小規模から試せるITツールも多いので、ランニングコストと効果を見比べながら無理のない範囲で導入しましょう。

費用対効果に不安がある場合は、お試し期間を利用したり、同業他社の事例を調べて投資回収の見通しを立てることも大切です。

社内の抵抗感・アナログ文化

長年紙や手作業でやってきた企業ほど、従業員から「今さらやり方を変えたくない」「ITは苦手だ」という抵抗に遭うことがあります。

特に従業員数が多い企業では、アナログな文化や習慣が根付いているため、
組織の意識改革が課題になりがちです 。

これを乗り越えるには、経営者が率先してビジョンを示し、段階的に変革することが重要です。

まず経営トップが「なぜデジタル化が必要か」「これで会社をどう良くしたいのか」を社員に丁寧に説明し、社内の理解を得ます。その際、小さな成功事例を社内で共有すると効果的です。

例えば「在庫管理をシステム化したら在庫ミスが減り、みんなの残業が減りました」といった具体的な成果を示すと、社員もメリットを実感できます。

また、段階的な導入も有効です。いきなり全業務を変えるのではなく、まずは一部の部署や業務で試行し、
問題点を洗い出しながら徐々に範囲を広げます。

ITが苦手な社員にはOJT(実務を通じた研修)や外部セミナーでスキル習得を支援し、
「やればできる」という自信を持ってもらいましょう。

経営者自身がデジタル化に前向きに取り組む姿勢を見せることが、社風転換のカギになります。

セキュリティや運用面の不安

デジタル化を進めると、サイバー攻撃やシステム障害といったリスクも気になるところです。
事実、近年はテレワーク環境のVPN機器の脆弱性を突いたランサムウェア被害が中小企業でも増えています 。

しかし、適切な対策を講じれば過度に恐れる必要はありません


基本的な乗り越え方としては、セキュリティの初歩を押さえることです。

具体的には「OSやソフトウェアを常に最新の状態に更新する」「推測されにくい強固なパスワードを設定し、使い回さない」「ウイルス対策ソフトやファイアウォールを導入する」「クラウドサービスのアクセス権限を適切に
管理し、不要な人が重要データに触れられないようにする」といった対策が挙げられます 。

これらはIPA(情報処理推進機構)や中小企業庁が公開しているチェックリストにもまとめられているので
参考になります。

また、万一に備えてデータのバックアップを定期的に取っておくことも運用上の大切なポイントです。

セキュリティ専門知識が無くても、信頼性の高いクラウドサービスを利用すれば比較的安全にシステムを運用できます。不安な場合はITベンダーに相談し、適切なセキュリティ設定になっているか確認してもらうと良いでしょう。

大事なのは、「便利になる分、安全にも気を配る」という姿勢でDXを進めることです。

まとめ:取引金融機関に相談してみましょう

今回はDXを推進する際に起こりがちな課題とその乗り越え方についてまとめました。

しかしながら、日々膨大な量の仕事をこなす経営者にとって、DXは時間のかかる課題でありなかなか着手できないのではないでしょうか。

そこで私がおすすめするのは、「取引金融機関に相談してみましょう」ということです。

最近の金融機関は、従来の預金や融資といった資金繰り支援以外にも、企業の経営課題を解決するサービスにも力を入れています。

私が、まずは取引金融機関への相談を進める理由は以下の通りです。

  • 自社のビジネスモデルを理解してくれている
  • DXだけでなく、関係する補助金についても複合的にサポートしてくれる
  • システムの導入費や補助金入金までのつなぎ資金の相談にも乗ってくれる

私がこれまで担当してきた企業の中でも経営が上手だと感じた経営者の皆様は総じて金融機関の使い方が上手でした。

限りある時間を本業に使うためにも、金融機関のサポートを活用することをぜひ検討してみてください。

以上、「DX推進における課題とその乗り越え方」でした。

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この記事を書いた人

中小企業AIアドバイザー。金融機関で多くの中小零細企業の経営課題を見てきた経験を持ち、現在は自社のDX・生成AI活用専門部署に所属。生成AIを活用した経営改善や業務効率化を研究・発信し、現場の知見と最新技術を融合させて経営者をサポートしています。

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